コーヒーミルは、手動か電動かを決める前に、刃が「打って砕く」プロペラ式か、「すき間で挽く」コニカル式・フラット式かを見ると選びやすくなります。
挽き目を自分で細かく動かしたいならすき間で挽く方式、とにかく手早く粉にしたいならプロペラ式が出発点です。
そのうえで、1回に挽く量と、挽くのにかけられる時間から手動か電動かを決めます。
刃は「打って砕く」か「すき間で挽く」か
メリタは、家庭用のミルの歯を次のように分けて説明しています。
| 方式 | 豆を砕く仕組み | 挽き目の変え方 | 粒のそろい方 |
|---|---|---|---|
| ブレードカッター式(プロペラ式) | プロペラ状の歯を回し、歯の打撃で砕く | 挽く時間で加減する(細かな調整は難しい) | 均一にそろえるのは得意ではなく、微粉が出やすい |
| コニカルカッター式 | 固定された歯と、回転する円錐状の歯の間を豆が通る | 歯と歯のすき間の距離で調整 | プロペラ式に比べて粒がそろいやすい |
| フラットカッター式(フラットディスク式) | 向かい合った一対の平面の歯の間で砕く | 歯と歯のすき間の距離で調整 | プロペラ式に比べて粒がそろいやすい |
分け方と仕組み、プロペラ式の粒のそろい方は、メリタの「コーヒーミル(グラインダー)の選び方」に沿っています(同社が挙げる4つめのロールグラインダーは主に工業用のため外しました)。
コニカル式・フラット式の「プロペラ式に比べて粒がそろいやすい」は、全日本コーヒー協会が挽き方のポイントに挙げる「粒をそろえる」と合わせた、当サイトの整理です。
コニカル式とフラット式は、2つの歯のすき間で挽く点が同じで、まとめて「臼式」と呼ばれることもあります。
ハリオの手挽きミルの説明にある「セラミックの臼」も、この仲間の歯です。

すき間で挽く歯は、手動にも電動にもある
「手動なら臼式、電動ならプロペラ式」と分かれているわけではありません。
メリタの家庭用のミルだけでも、電動のコニカル式(バリオ-E)、電動のフラットディスク式、手挽き(コーヒーミル クラシック)が並んでいます。
刃の方式と、手で回すかモーターで回すかは別々に選ぶものと考えておくと、売り場で迷いにくくなります。
メリタは、挽きたてを楽しむためのミルとしてコニカルカッター式かフラットカッター式をすすめています。
理由は、挽き目を粗くすると酸味が、細かくすると苦みが特徴的なコーヒーになるという違いを、すき間の調整で選べるからです。
プロペラ式は挽き目の調整が難しく、この違いを楽しみにくいというのが同社の説明です。
プロペラ式は、手軽さと引き換えに粒がばらつく
プロペラ式の良いところと、気をつけたいところは次のとおりです。
- 電動ミルの中では手頃な価格の製品が多い(メリタ)
- カリタのCM-50は、50gの豆を15秒で中挽きにできると案内している
- 雑味の原因になる微粉が出やすい(メリタ)
- 粗目・細目の調整が難しく、挽き目による味の違いを楽しみにくい(メリタ)
- CM-50の連続使用時間は60秒で、長く回し続ける使い方には向かない
プロペラ式を使うなら、豆の量と挽く秒数を毎回同じにすると、粗さのぶれを小さくできます。

手動と電動は、量と時間で選ぶ
| 比べるところ | 手動(手挽き) | 電動 |
|---|---|---|
| メリタが挙げる向く人 | 挽く感触や工程を楽しみたい、アウトドアでも挽きたい | 一度にたくさんの豆を素早く挽きたい、すぐに飲みたい |
| 1回に挽ける量の例 | ハリオ セラミックスリム24g、ポーレックス コーヒーミル・Ⅱ約30g | カリタ CM-50 50g、ハリオ V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN 100g |
| 電源 | いらない | いる(CM-50は115W、ハリオの電動は150W) |
| 価格の例(税込) | ハリオ セラミックスリム3,300円、ポーレックス コーヒーミル・Ⅱ9,130円 | ハリオ V60 電動コーヒーグラインダーコンパクトN22,000円(CM-50はオープン価格) |
量と価格は2026年10月19日時点の各社公式ページの表示で、価格はメーカーが公式ページに載せている税込価格です(販売店では変わります)。
全日本コーヒー協会のペーパードリップのレシピは1杯12gなので、24gなら2杯分、30gなら2杯分に少し余るくらいの量です。
毎朝1〜2杯なら手動でも間に合い、家族の分を一度に挽くなら電動が楽というのが、量から見た分かれ目です。

手挽きミルは「豆を入れる側」と「粉を受ける側」の容量を見る
カリタは、手挽きミルごとに、豆を入れるホッパーと、挽いた粉がたまる粉受けの容量を分けて公開しています。
たとえばダイヤミルNはホッパー50g・粉受け60gですが、ミニミルはホッパー40gに対して粉受けは25gです。

粉受けがホッパーより小さい機種は、一度に入れた豆を挽ききる前に粉を空ける必要が出ることがあります。
同社は、豆と挽き目によって±1〜2gの誤差が出るとしているので、表示の量はぴったりの数字ではなく目安として見ます。
使い方から方式の見当をつける
| こんな使い方 | 見当をつける方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎朝1〜2杯をペーパードリップで | 手動の、すき間で挽くミル | 1回24〜30gで足り、挽き目を動かせる |
| 家族の分を毎朝まとめて挽く | 電動の、すき間で挽くミル | 一度にたくさんの豆を素早く挽ける(メリタ) |
| まずは手頃に豆から始めたい | 電動のプロペラ式 | 価格を抑えやすい(秒数を決めて使う) |
| キャンプや旅先でも挽きたい | 小型の手動ミル | 電源がいらず、ハリオのセラミックスリムはハンドルを外すとコンパクトに収まる |
挽き目の目安は、器具ごとに5段階
全日本コーヒー協会は、挽いた粒の大きさを5つに分け、それぞれに合う器具を挙げています。
| 粒度 | 粒の大きさのたとえ | 合う器具の例 |
|---|---|---|
| 粗挽き | ザラメ糖くらい | パーコレーター |
| 中挽き | グラニュー糖とザラメ糖の中間くらい | サイフォン、ネルドリップ |
| 中細挽き | グラニュー糖くらい | ペーパードリップ、家庭用のコーヒーメーカー |
| 細挽き | 上白糖とグラニュー糖の中間くらい | ウォータードリップ(水出し) |
| 極細挽き | 上白糖くらい | エスプレッソマシン |
一方、カリタは手挽きミルのおすすめを中粗挽き(グラニュー糖とザラメの中間くらい)としていて、同協会が「中挽き」と呼ぶ大きさに近い表現です。
挽き目の名前は会社によってずれがあるので、迷ったら名前より砂糖の粒のたとえで合わせると分かりやすいです。

ペーパードリップの手順と中細挽きの使い方はハンドドリップのやり方に書いてあり、粗く挽いて使う器具の例にはフレンチプレスの使い方があります。
豆の焙煎度と挽き目の関係を知りたいときは、浅煎り・中煎り・深煎りの違いが手がかりになります。
目盛りの細かさも製品で違う
ポーレックスのコーヒーミル・Ⅱは、調節ネジの1目盛りが平均37ミクロンで、1回転が16クリックです。
ハリオのV60 電動コーヒーグラインダーコンパクトNは、中細挽きから粗挽きまでを39段階で調節します。
目盛りの数字は機種ごとの目安なので、ミルを替えたら同じ数字でも粗さが変わると考えておきます。
摩擦熱・微粉・静電気に気をつける
全日本コーヒー協会は、挽き方のポイントとして摩擦熱を抑える、粒をそろえる、微粉を減らすことを挙げています。
挽くときに熱が出ると、粉が変色して淹れたあとの香りが減り、微粉は成分の出すぎ(過剰抽出)の原因になりがちだとされています。
ハリオは、ミルの選び方の説明で「セラミックの臼のものを使うと、摩擦熱が発生しにくく、コーヒー粉のダメージを防ぎます」としています。
電動ミルでは静電気で粉が飛び散ることがあり、ハリオの電動グラインダーは内部に静電気を取り除く機能を付けて、飛び散りを減らしています。
メリタによると、コニカル式やフラット式はコーヒーかすの飛び散りが少ないそうです。
挽く量は、同協会のとおり淹れる直前に、必要な分だけが基本です。
コーヒーミルでよくある疑問
- 豆以外のもの(ゴマなど)を挽いてもいいですか?
-
カリタは、同社の手挽きミルをコーヒー豆専用とし、湿った豆を含めてコーヒー豆以外には使わないよう案内しています。
生豆を挽くと刃が目詰まりする原因になるとも書かれています。
- 挽き目を細かくしようと調節ネジを締めたら、回らなくなりました。
-
カリタの説明では、調節ネジを締めすぎるとカッターがこすれ合って故障の原因になります。
ポーレックスも、締めすぎると刃と刃が当たって破損するおそれがあると注意しています。
細かくするときは少しずつ動かします。
- ハンドルを逆に回してもいいですか?
-
カリタによると、ハンドルの空回しや逆回転はカッターを傷める原因になります。
- 挽いた粉が余ったときは、どうすればいいですか?
-
粉は豆より表面積が大きく、湿気を吸って酸化が進みやすいと全日本コーヒー協会は説明しています。
密閉して保存し、早めに使い切ります(保存場所ごとの扱いはコーヒー豆の保存方法が参考になります)。
淹れたコーヒーが酸っぱい・苦いと感じたとき、原因は挽き目だけとは限らず、湯温や抽出時間でも味は変わります(症状から原因をたどる手順はコーヒーが酸っぱい・苦い・薄いときの原因と直し方で整理しています)。
洗えるかどうかで、毎日の手間が変わる
最後に見ておきたいのは、刃を水で洗えるかどうかです。
ハリオのセラミックスリムは「臼が洗えます」とされ、ポーレックスはセラミック刃などの部品を外して洗えるので、前回の粉が混ざらないと説明しています。

カリタの手挽きミルの多くは、カッターが硬質鋳鉄製やアルミニウム製で、水洗いができません。
同社は、残った豆のかけらや粉は乾いた刷毛で掃除し、水に浸したり水で洗ったりしないよう注意しています。
電動ミルも本体は水洗いできないものがあるので、手入れの方法は手元の取扱説明書で確かめてください。
洗って清潔にしておきたいならセラミック刃の手動、ブラシで払う手入れで構わないなら刃の素材は問わないと考えると、候補を絞り込めます。
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