同じ「全自動」という言葉でも、メリタでは豆を自動で挽いてドリップする機械を指し、デロンギでは豆から挽いてクレマやミルクの泡まで作るマシンを指しています。
売り場の呼び名だけでは、どんなコーヒーが出てくるのかまでは分かりません。
迷ったときは、「何を入れるか(粉・豆・カプセル)」と「どう抽出するか(湯を通すか、圧力をかけるか)」の2つで分けると、方式の違いがはっきりします。
まず分けるのは「入れるもの」と「抽出のしかた」
家庭用のコーヒーメーカーは、おおまかに次の4つの方式に分けられます。
| 方式 | 入れるもの | 抽出のしかた | 味の変え方 | 1杯ごとに使うもの | 例として挙がる製品 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドリップ式(粉から) | コーヒー粉・水・ペーパー | 湯を粉の層に通す | 粉の量を変える | 粉とペーパー | メリタのフィルターペーパー式、ハリオ V60珈琲王2 |
| 全自動(ミル付きのドリップ式) | 豆(粉から淹れられる機種もある)・水・ペーパー | 豆を挽いてから湯を通す | 挽き目やコースを選べる機種がある | 豆とペーパー | パナソニック NC-A58、メリタ アロマフレッシュ |
| カプセル式 | 専用カプセル・水 | ブランドごとに違う(高い圧力、またはドリップ) | カプセルの種類を選ぶ | カプセル1個 | ネスプレッソ、UCCのドリップポッド、ネスカフェ ドルチェ グスト |
| 全自動コーヒーマシン(エスプレッソ系) | 豆・水(ミルクを使う機種もある) | 豆を挽き、エスプレッソやカプチーノなどのメニューを淹れる | メニューを選ぶ | 豆(ミルクのメニューではミルクも) | デロンギの全自動コーヒーマシン |
表は、メリタ・パナソニック・ハリオ・ネスプレッソ・UCC・ネスレ・デロンギの公式ページの説明を方式ごとに当てはめたもので、同じ方式でも機種によって当てはまらない機能があります。
「全自動」と書かれていたら、どちらの全自動?
ドリップ式のミル付きか、エスプレッソ系のマシンかで、出てくるコーヒーが変わります。
商品名ではなく、説明欄の「ドリップ」「エスプレッソ」「クレマ」といった言葉で見分けるのが分かりやすいです。
ドリップ式は、ハンドドリップを機械に任せる方式
粉と水をセットしてボタンを押すと、機械が湯を沸かして粉の上から少しずつ注ぎます。

メリタは、抽出時の湯温には90〜95℃のスイートスポットがあり、高すぎると苦味が強く、低いと酸味が目立つと説明しています。
抽出の速さを決めるのは、ペーパーをセットする部分の溝(リブ)と穴の大きさのバランスです。
「5杯用」の1杯は、マグカップより小さい
メリタは、家庭用のコーヒーメーカーを大きく5杯用と10杯用に分けています。
ここでいう1杯はコーヒーカップの125mLで、5杯用はマグカップなら2〜3杯分、10杯用は5〜6杯分になります。
パナソニックのNC-A58も、容量は「4カップ」で545mlと書かれていて、1カップあたりは約136mLの計算です。
家族が飲む量をマグカップで数え、表示の杯数を半分くらいに読み替えると、容量を選び間違えにくくなります。
使うペーパーのサイズも杯数で変わり、メリタの説明では一般的に5杯用が「1×2」、10杯用が「1×4」です。
粉と水の基準は、ハンドドリップより薄め
メリタのコーヒーメーカーは、粉8gに湯140mLを基準に設計されていて、全自動のアロマフレッシュは粉7gに湯125mlです。
割り算すると粉1に対して湯は約17.5〜17.9で、全日本コーヒー協会のペーパードリップ(粉12g・湯160mL、約1:13.3)より湯の割合が多い基準です。
メリタ自身も、このバランスは決まりではなく、少し増やしたり減らしたりして好みの点を探してよいとしています。
濃さが物足りないときは、水の量はそのままで粉を少しずつ足すと、変えた分の違いが分かりやすくなります。
水は、水道水でも淹れられる
メリタは、コーヒーに向くのはカルシウムやマグネシウムが50mg/L以下の軟水で、多くの日本の水道水は抽出に適していると説明しています。
においが気になるときは、活性炭の浄水フィルターで塩素を取り除く方法も挙げられています。
全自動(ミル付き)は、挽く工程まで任せる方式
豆を入れると、機械が挽いてからドリップまで進めます。

メリタは、粉で買う場合について粉は豆に比べて酸化しやすく、味に影響があると説明していて、豆のまま置いておけるのがこの方式の強みです。
同社は、全自動を選ぶときの確認点としてミルが「コニカル式」か「フラットディスク式」かを挙げています。
パナソニックのNC-A58は「挽いて落とす」縦型ミルで、メッシュフィルターを付け替えて挽き分ける仕組みです。
同機は蒸らしの前にミルを自動で洗い、粉からも抽出できます。
挽き目を選べる機種は、味の幅が広がる
NC-A58は、粗挽きフィルターなら薄く軽めの味わい、中細挽きフィルターなら濃く苦めの味わいになると案内しています。
そこに3つのコースを組み合わせて、6通りの味から選ぶ仕組みです。
デカフェ豆に合わせた専用コースもあり、挽き目を選べる全自動なら、豆の挽き方まで含めて味を選べます。
ミルの刃の違いは、手で挽くミルや単体の電動ミルとも共通の話です(コーヒーミルの選び方で整理しています)。
保温は、ガラスポットかステンレスポットか
淹れたあとの味の変わり方は、ポットの種類でも違います。

| 比べるところ | ガラスポット | ステンレスポット |
|---|---|---|
| 保温のしかた | 本体のヒーターで温め続ける機種が多い | ポットそのものが冷めにくい |
| メリタの説明 | ヒーターの熱で香りや味わいが変わる | 熱による味の変化が少なく、氷を入れたアイスコーヒーも作りやすい |
本体で保温する機種でも、パナソニックのNC-A58は保温を始めて30分後に温度を下げ、2時間後に切れるようにして、煮詰まりを減らしています。
淹れてから飲み終わるまで時間があく家庭なら、ステンレスポットの機種が候補になります。
カプセル式は、1杯ごとに専用カプセルを使う方式
カプセル式は、コーヒーの粉などを密封した専用のカプセルをマシンにセットして淹れます。

同じカプセル式でも、抽出の方法はブランドで分かれます。
- ネスプレッソ: 1カプセルで1杯、アルミニウム製のカプセルを高い圧力で抽出する
- UCCのドリップポッド: 販売元のソロフレッシュコーヒーシステムが「カプセル式のドリップコーヒーシステム」と紹介している、ドリップで淹れる方式
- ネスカフェ ドルチェ グスト: コーヒーのほか、ラテ・ティー・ココアのメニューもある
豆を量る手間も、ミルの手入れもいらないのが利点です。
その代わり、1杯ごとのコストはカプセルの価格でほぼ決まり、使えるのはマシンの規格に合うカプセルに限られます。
比べるときは、たとえば200gで1,200円の豆を1杯10g使う場合は1杯あたり約60円、というように、手持ちの豆の値段で計算してからカプセルの価格と並べてみると判断しやすくなります。
エスプレッソ系の全自動コーヒーマシン
デロンギの全自動コーヒーマシンは、豆から挽いて、エスプレッソやカプチーノなどのメニューをボタンで選んで淹れるタイプです。

エスプレッソは、全日本コーヒー協会によると極細挽きの粉に約9気圧の圧力をかけて、1杯分25〜35mLを20〜30秒で抽出するコーヒーです。
湯を粉に通すドリップ式とは淹れ方が別物で、ドリップの機能だけの機種では、エスプレッソは淹れられません。
デロンギは、ドリップとエスプレッソを1台にまとめた「コンビコーヒーメーカー」という分類の製品も扱っています。
ミルクの泡を作る機能を持つ機種もあるので、カフェ・オ・レやカプチーノをよく飲む家庭が比べる候補になります。
ハンドドリップと使い分けるなら
コーヒーメーカーが向くのは、毎回同じ味を、決まった杯数だけまとめて淹れたいときです。
メリタも、淹れ方による味のばらつきをなくし、毎日安定した味で飲めるのが最大の魅力だとしています。
一方で、注ぐ速さや湯温を自分で変えて味を探りたいなら、手で淹れるほうが自由に動かせます。
手で淹れる手順はハンドドリップのやり方に一通り書いてあり、フレンチプレスやエスプレッソまで含めた淹れ方ごとの違いはコーヒーの淹れ方の違い比較の比較表で見比べられます。
手入れの手間を、買う前に見ておく
手入れの方法と、使ってよい洗剤や洗浄剤は機種ごとに違います。
パナソニックはNC-A58について、使うたびに中性洗剤と柔らかいスポンジで洗い流すよう案内しています。
クエン酸などで内部を洗浄できるかどうかも機種によるので、手元の取扱説明書の手順を優先してください。
コーヒーメーカーの手入れは、使うたびの洗い流しと、機種が対応していればクエン酸などでの内部の洗浄の2つに分かれます(進め方はコーヒーメーカーの掃除とクエン酸洗浄のやり方で取り上げています)。
買う前に、置く場所の幅と奥行を測っておく
コーヒーメーカーは、出しっぱなしにできる場所があるかどうかで使う回数が変わります。

パナソニックのNC-A58は横幅15.2cmと、幅を抑えた形が特長のひとつです。
- 置く場所の幅・奥行・高さ(水容器を上から入れる機種は、上の空きも)
- 近くにコンセントがあるか
- ふだん淹れる量が、マグカップで何杯か
- 豆で買うか、粉で買うか(豆なら全自動)
- 淹れてから飲み終わるまでの時間(長いならステンレスポット)
測った寸法と杯数を書いたメモを持って選ぶと、方式の候補が2つくらいまで絞れます。
価格や寸法は、同じシリーズでも型番の更新で変わることがあるので、最新の数字は各メーカーの製品ページで確かめてください。
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