夜のうちに仕込んで朝に飲みたいのか、飲みたくなったその場で作りたいのかで、選ぶ作り方が変わります。
その場で作るなら、熱い湯で濃く淹れて氷で冷やす「急冷式」、前の晩に仕込めるなら、水に粉を浸して冷蔵庫で待つ「水出し」が向いています。
どちらも家にある道具で作れますが、水出しは熱を通さない作り方なので、容器の清潔さと冷蔵保存にだけは気を配ります。
急冷式と水出しの違い
| 比べるところ | 急冷式 | 水出し |
|---|---|---|
| 抽出に使うもの | 熱い湯(ホットと同じ器具) | 水(常温の水を注ぎ、冷蔵庫などで待つ) |
| できあがるまで | ドリップして冷やすだけ | 浸漬式で4〜24時間、滴下式で1〜8時間(器具やメーカーで幅) |
| 味の傾向 | 透明度が高く、香りが立つ(全日本コーヒー協会・メリタ・キーコーヒー) | えぐみが少なくすっきり、まろやか(UCC・ハリオ) |
| 保存の目安 | 冷蔵でしっかりフタをして2日以内(キーコーヒー) | 冷蔵で2日以内〜2、3日以内(キーコーヒー・AGF) |
時間の列は、各社が示す作り方の時間をつないだ幅で、1つの器具でこの幅があるわけではありません。
香りを立たせたいなら急冷式、口当たりのやわらかさを取るなら水出し、という分け方が1つの目安です。

急冷式アイスコーヒーの作り方
全日本コーヒー協会は、急冷式のポイントを「粉は多めに、お湯は少なめにして濃く抽出すること」と説明しています。
氷が溶けて薄まる分を、最初から見込んでおくという考え方です。
湯を沸かして95℃前後まで少し置き、細挽き〜中細挽きの粉を1杯分12〜15g用意します(全日本コーヒー協会)。
UCCも、1杯分の粉は12〜15g程度とし、ホットよりやや多めとしています。
ペーパーフィルターをドリッパーにセットし、粉を入れて表面を平らにならします。
湯を20mL注ぎ、30〜40秒蒸らします。
残りの湯を3回に分けて注ぎ、蒸らしの分と合わせて1杯分で合計140mLにします。
落ちたコーヒーを、氷水に浸したサーバーで冷やすか、たっぷりの氷を入れたグラスへ一気に注ぎます。
UCCも、氷は多めに用意するよう書いています。
サーバーやグラスの耐熱温度は製品によって違うので、熱いコーヒーを注ぐ前に取扱説明書で確かめてください。
氷に直接落とす方法もある
全日本コーヒー協会は、氷を入れたサーバーにドリッパーをのせ、落ちてくる一滴一滴を氷に直接当てて冷やす方法も紹介しています。
急冷されるので、透明度の高い清涼感のある仕上がりになるとされています。

粉と湯の比率は、ホットより粉寄り
各社の急冷式レシピの粉と湯を割り算して、ホットの比率と並べてみます。
| レシピ | 粉 | 湯・水 | 粉:湯の比率 |
|---|---|---|---|
| 全日本コーヒー協会(ホットのペーパードリップ、参考) | 12g | 湯160mL | 約1:13.3 |
| 全日本コーヒー協会・UCC(急冷式1杯) | 12〜15g | 湯140mL | 約1:9.3〜1:11.7 |
| メリタ(1×2フィルターで4杯分) | 約32g | 水280ml+氷約250g | 1:8.75(水のみで計算) |
| キーコーヒー(3〜4人分) | 50g | 熱湯で300ml抽出、氷で500mlの目盛りまで | 1:6(抽出量で計算) |
| キーコーヒー(1杯をグラスの上で) | 15g | できあがり150ml想定 | 1:10 |
メーカーごとに「湯の量」「水の量」「できあがりの量」と基準がそろっていないので、比率はそれぞれの数字をそのまま割った参考値です。
どのレシピも、ホットの約1:13より粉を多くし、1:6〜1:12ほどに寄せている点は共通しています。
最初はホットで使っている粉の量はそのままに、湯を少し減らすところから試すと、自分の分量に調整しやすくなります。
ペーパードリップの基本の手順は同じなので、蒸らしや注ぎ方の考え方はホットと共通です(ホットの手順と比率の考え方を知りたいときはハンドドリップのやり方)。
コーヒーメーカーで作るとき
メリタは、同社のコーヒーメーカーでアイスコーヒーを作る場合、水をいつもの半分にする方法を紹介しています。
8杯分を作る例では、豆を8杯分、水を4杯分の目盛りまで入れ、ポットに氷を約500g入れておく手順です(同社の10杯用機種「アロマフレッシュ」の例)。
ただし、氷を入れたポットで受けてよいか、挽き目や濃さの設定ができるかは機種によって違うので、手元の取扱説明書で確かめてから試してください。
機種の方式ごとの違いは、コーヒーメーカーの種類と選び方で整理しています。
水出しコーヒーの作り方
水出しには、粉を水に浸けておく浸漬式と、上から水を一滴ずつ落とす滴下式があります。
| 出典 | 方式 | 粉と水 | 時間の目安 | 挽き目 |
|---|---|---|---|---|
| ハリオ(水出し珈琲ポットなど) | 浸漬式 | 製品の目盛りまで水を注ぐ | 8時間程度(冷蔵庫) | 深煎りの中細挽きをすすめる |
| AGF | 浸漬式 | 豆1:水10(例: 50gに500ml) | 8〜24時間(冷蔵庫) | 中挽き〜粗挽き |
| キーコーヒー(水出し用バッグ) | 浸漬式 | 1パック30gに常温水500〜1,000ml | 4時間(冷蔵庫) | バッグ入り |
| UCC(コーヒーバッグ) | 浸漬式 | 水量はパッケージを確認 | 4〜8時間(冷蔵庫) | バッグ入り |
| 全日本コーヒー協会 | 滴下式(ウォータードリップ) | 10杯分 | 6〜8時間 | 細挽き |
| ハリオ | 滴下式 | 製品による | 1〜3時間程度 | ページに記載なし |
| UCC | 滴下式 | 粉10g:水100ml | 数時間 | 中細挽き程度 |
浸漬式の時間は4時間から24時間までと幅が広く、挽き目も、浸漬式は中細挽き〜粗挽き、滴下式は細挽き〜中細挽きと分かれています。
まずは使う器具やバッグの説明どおりの時間で作り、薄ければ次回は時間を延ばすのが、迷わない進め方です。
UCCはバッグ式について、4〜8時間でできあがるので、夜に作って冷蔵庫に入れれば翌朝に飲めるとしています。

浸漬式(ポット・ボトル・バッグ)の流れ
- 容器とストレーナー(フィルター)をよく洗い、乾かしておく
- ストレーナーに粉を入れる(バッグなら容器に入れる)
- 少量の水で粉全体を湿らせてから、残りの水を注ぐ
- フタをして冷蔵庫に入れ、説明どおりの時間待つ
- できあがったらストレーナーやバッグを外し、フタをして冷蔵庫で保存する(外さなくてよいと説明している商品もあります)
UCCとキーコーヒーのバッグ式は常温の水を注いでから冷蔵庫に入れる手順で、ハリオのポットも水を注いだあと冷蔵庫で抽出します。
滴下式(ウォータードリッパー)の流れ
UCCの手順では、粉10gに対して水100mlを目安にし、豆から挽くなら中細挽き程度にします。
底がフィルターになったドリッパーに粉を入れ、全体が湿るくらいの水を加えて、粉の油分と水がなじむまでしっかり混ぜるのがポイントです。
上のタンクに分量の水を入れると抽出が始まり、温度変化を避けるため涼しい場所(入るなら冷蔵庫)に置いて、水が落ちきるまで数時間待ちます。
全日本コーヒー協会は、滴下式は一滴ずつ時間をかけて抽出し、コクのある甘味が特長だとしています。

器具が背の高い形になりやすいので、置く場所と冷蔵庫に入るかを先に確かめておくと、作り始めてから困りません。
水出しは衛生と保存に気をつける
水出しは熱を通さずに作るため、容器や器具の清潔さがそのまま品質に関わります。
厚生労働省は家庭での食中毒予防の三原則を、食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」とまとめ、冷蔵庫は10℃以下に維持することをめやすにしています。
水出しコーヒーも、できあがったらすぐ冷蔵庫に入れ、冷やしたまま飲みきるのが基本です。
保存の目安は、キーコーヒーがしっかりフタをして2日以内、AGFが2〜3日以内、UCCが数日で飲み切るとしています。
メーカーによって幅があるので、いちばん短い「2日以内」を基準にしておくと安全側に寄せられます。
保存の前に確かめること
・容器とフタを洗って乾かしてから使った
・浸漬式は冷蔵庫で抽出し、できあがったらすぐ冷蔵庫で保存している
・香りが逃げないようにフタをしっかり閉めている
・作った日が分かるようにしている
・においや見た目がいつもと違うときは飲まない(厚生労働省は「ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。」としています)

アイス・水出しに向く豆
メリタは、アイスコーヒーには深煎りで苦みとコクが強く、酸味の少ない豆がよく合うとして、フルシティ・フレンチ・イタリアンの焙煎度を挙げています。
キーコーヒーの急冷式のレシピもフレンチローストの粉を使い、ハリオは水出しに深煎りの中細挽きをすすめています。
一方でAGFは、水出しに中煎りを使うと酸味と苦味のバランスが取れた味になるとしていて、深煎りだけが選択肢ではありません。
深煎りの段階ごとの名前と味の違いは、浅煎り・中煎り・深煎りの違いの「深煎り」の項目に並んでいます。
氷やミルクを加える前提で豆を選ぶなら、味の好みで選ぶコーヒー豆の早見表のD・Eのタイプが当てはまります。
捨てる基準を先に決めておく
水出しは、仕込む前に「何日たったら捨てるか」を決めておくと、冷蔵庫の前で迷わずに済みます。
基準は、保存の目安で触れた「2日以内」を過ぎたら飲まずに処分するのが分かりやすい線です。
においや見た目がいつもと違うと感じたら、日数に関係なくその時点で捨てます。
仕込む量を2日で飲みきれる分にしておくと、捨てる分も出にくくなります。






コメント