エアロプレスを上下逆さにして淹れる「インバート(逆さ置き)」を使う人もいますが、メーカーのエアロプレス社は公式FAQでこの方法を強くすすめないと明言しています。
理由は、器具が不安定になって倒れやすく、熱い液体でやけどをするおそれがあるためです。
インバートで得たい、長く浸すことや早く落ちるのを防ぐことは、ふつうの置き方のままでもできるので、まずは公式の基本レシピから始めるのが確実な順番です。
エアロプレスの仕組み
エアロプレスは、筒(チャンバー)の中で粉を湯に浸し、ピストンのようなプランジャーを手で押してペーパーフィルター越しにコーヒーを押し出す器具です。
浸して成分を出すところはフレンチプレスに近く、最後に紙で濾すところはペーパードリップに近い、浸漬と加圧を組み合わせた淹れ方といえます。
公式サイトでは、オリジナルモデルの容量は10オンス(約300mL、1〜2杯)とされています。
押し出す先は手持ちのマグカップでよく、オリジナルの場合、使えるマグの口の内径は70mm〜95mm(2.75〜3.75インチ)が目安です(公式FAQ)。
紙のフィルターで濾すため、公式は製品ページでざらつきの出にくいろ過を特長に挙げています。

エアロプレスが合いやすい使い方
・1〜2杯を短い時間で淹れたい(公式の使い方では、準備と片付けで2分足らず)
・洗い物を少なくしたい(押し切った粉は固まって外れ、プランジャーが筒の内側をぬぐう)
・持ち運んで使いたい(ゴーなど小型のモデルがある)
・一度に3杯以上をよく淹れる人は、オリジナルの容量(約300mL)では足りないので、XLかほかの器具も比べる
公式の基本レシピ
公式サイトの使い方は、市販の粉を使う場合と自分で挽く場合の2通りで書かれています。
| 比べるところ | 市販の粉を使う | 自分で挽く |
|---|---|---|
| 挽き目 | 中挽き | 中細挽き |
| 粉の量 | 付属スクープ山盛り1杯 | 16〜18g(スクープ山盛り1杯) |
| 湯温 | 85℃(温度調整できるケトルがなければ沸騰した湯でも可) | 同じ |
| 湯の量 | チャンバーの目盛り「4」まで | 同じ |
| かき混ぜる時間 | 約3秒 | 約3秒 |
| 押すまで待つ時間 | 60秒 | 30秒 |
英語の公式ページの記載を、華氏は摂氏に置き換えて並べました。
自分で中細挽きにする場合、待ち時間は市販の粉の半分の30秒です(細かく挽くほど成分が早く出るためと考えられます)。
モデルによって粉と湯の量が違う
エアロプレスには大きさの違うモデルがあり、公式の使い方もモデルごとに粉の量と目盛りが変わります(いずれも自分で中細挽きにする場合)。
| モデル | 粉の量 | 湯を入れる目盛り | 押し出す先 |
|---|---|---|---|
| オリジナル・クリア | 16〜18g(スクープ山盛り1杯) | 4 | マグカップ |
| XL | 32〜36g(スクープ山盛り2杯) | 8(1杯なら4、粉は半分) | 専用カラフェ |
| ゴー | 12〜14g(スクープ1杯弱) | 3 | 付属のマグ |
| ゴープラス | 16〜18g(スクープ山盛り1杯) | 4 | 付属のタンブラー |
押し出す先の器はモデルの説明に出てくるものを書いています。
持っているモデルの説明どおりの量から始めると、目盛りと粉の量の組み合わせを間違えずに済みます。
基本の淹れ方(標準の置き方)
湯を85℃前後に沸かします。
温度を合わせられない場合は、沸騰した湯でもかまわないと公式は書いています。
プランジャーをチャンバーから抜き、ペーパーフィルターをフィルターキャップに入れて、チャンバーにねじって取り付けます。
チャンバーを丈夫なマグカップの上に立て、粉を入れて軽くゆすり、表面を平らにします。
目盛り「4」まで湯を注ぎ、約3秒やさしく混ぜます。
この段階で少しコーヒーがマグに落ちますが、公式は通常の動きとしています。
プランジャーを約1.3cm(1/2インチ)差し込み、少し引き上げて落ちるのを止め、30秒または60秒待ちます。
力を入れすぎず、一定の力でプランジャーを押します。
シューッという音が始まって終わったら、抽出の終わりの合図です。

逆さ置き(インバート)とは
インバートは、プランジャーを下にして器具を上下逆さに立て、粉と湯を浸してからフィルターキャップを付け、元の向きに返して押す方法です。
公式の説明書にある手順ではなく、使う人のあいだで「インバート」と呼ばれている淹れ方です。
公式FAQは、使う人の目的を次の3つと説明しています。
- 早くコーヒーが落ちてしまう(ドリップスルー)のを防ぎたい
- 浸す時間を長く、自由に決めたい
- 粗めの挽き目を使いたい
一方で公式は、インバートは器具が不安定になり、倒れて熱い液体を浴びるおそれがあるとして、強くすすめないとしています。
特に、ひっくり返してマグにのせる瞬間は、チャンバーの中が熱湯とコーヒーで満たされた状態です。
インバートを使わずに、同じことをする方法
公式FAQは、長く浸したいときは標準の置き方のまま、プランジャーの先を約1.3cm差し込んで落ちるのを止める方法をすすめています。
ストローの上の口を指でふさぐと下から落ちないのと同じ仕組みです。

また、別売りのフローコントロール・フィルターキャップを使うと、ドリップスルーを止めたまま好きなだけ浸せて、挽き目も自由に選べるとされています(オリジナル・クリア・ゴー・ゴープラス・プレミアムに対応、XLは非対応)。
標準の置き方とインバートの違い
| 比べるところ | 標準の置き方(公式の方法) | インバート(逆さ置き) |
|---|---|---|
| 置き方 | チャンバーをマグの上に立てる | プランジャーを下にして逆さに立てる |
| 早く落ちるのを防ぐ方法 | プランジャーを差して止める | 逆さなので落ちない |
| 浸す時間 | 公式は30〜60秒、延ばすこともできる | 自由に延ばせる |
| 挽き目 | 中細挽き〜中挽き | 粗めも使いやすい |
| 安定性 | マグの上で安定 | 不安定で倒れやすい |
| 公式の立場 | 説明書の方法 | 強くすすめない |
公式は、長く浸す・ドリップスルーを止めるという目的を、プランジャーを差し込む方法やフローコントロール・フィルターキャップで代えられるとしています。
フローコントロール・フィルターキャップについては、挽き目も好きなものを使えると書いています。
レシピの幅と、ほかの淹れ方との違い
自分でレシピを動かす順番
公式FAQは、味の好みは人それぞれで、特定のコーヒーの淹れ方に1つの正解はないという立場をとっています。
そのうえで、説明書の方法はほとんどのコーヒーに合うとしています。

レシピを自分で動かすなら、待ち時間 → 挽き目 → 粉の量の順で試すと、味の変化がどこから来たのかを取り違えにくくなります。
この順番は公式の指定ではなく、変える場所を毎回ひとところにするための進め方の一例です。
ハンドドリップ・フレンチプレスとの違い
湯を注いで最後まで落とすハンドドリップと比べると、エアロプレスは待ち時間が30〜60秒と短く、手で押して最後まで押し出す点が違います(ペーパードリップの手順と湯温の詳細:ハンドドリップのやり方)。
4分ほど浸して金網で濾すフレンチプレスとは、ペーパーで濾すかどうかと浸す時間の長さが分かれ目です(浸す時間と洗い方の詳細:フレンチプレスの使い方)。
酸味寄り・苦味寄りなど豆の好みから決めたいときは、味の好みで選ぶコーヒー豆の早見表を見ると、焙煎度と産地の組み合わせの見当がつきます。
エアロプレスでよくある疑問
- エアロプレスでエスプレッソは作れますか?
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公式は製品名に「Coffee & Espresso Maker」と付け、ラテなどに使うエスプレッソスタイルのコーヒーが作れると紹介しています。
ただ、全日本コーヒー協会が説明するエスプレッソは、極細挽きの粉に約9気圧をかけてマシンで抽出するものです。
手で押すエアロプレスとは抽出の仕組みが違うので、同じものではなく「濃いめの1杯」と考えるのが無難です。
- アイスコーヒーは作れますか?
-
公式はアイスコーヒーやコールドブリュー風の淹れ方にも使えるとしています。
熱い湯で淹れて氷で冷やす場合は、全日本コーヒー協会が急冷式のアイスコーヒーで説明しているのと同じ考え方で、氷が溶ける分を見込んで濃いめに淹れるのが基本です(急冷式と水出しの違いの詳細:アイスコーヒーと水出しコーヒーの作り方)。
- 食洗機で洗えますか?
-
オリジナルについて、公式は食洗機の上段なら洗えるとしています。
ただ、プランジャーがチャンバーの内側をぬぐうので、ふだんは水ですすぐだけで足りるとも書いています。
ときどきプランジャー先端のゴムを外して、ぬるま湯と食器用洗剤で洗うのがすすめられています(モデルによって違うので、取扱説明書も確認してください)。
変えるなら、待ち時間か挽き目から
最初の数回は、公式の中細挽き16〜18g・85℃・目盛り4・30秒(市販の粉なら中挽き・60秒)のまま淹れて、基準の味を決めます。

物足りなければ待ち時間を延ばし、えぐみが気になれば挽き目を少し粗くします。
長く浸したくなったときこそ、器具を逆さにするのではなく、プランジャーで止める方法かフローコントロール・フィルターキャップに切り替えます。





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