フレンチプレスは、粉と湯を同じポットに入れて4分ほど待ち、金網のフィルターを押し下げて粉を分ける器具です。
注ぐ技術がいらないぶん、味を決めるのは「粉の挽き目」「粉と湯の量」「待つ時間」の3つに絞られます。
同じ手軽さで続けるには、使ったあとのフィルターの洗い方も一緒に覚えておくのが近道です。
フレンチプレスの仕組みと味の特徴
フレンチプレスは、粉を湯に浸して成分を引き出す浸漬(しんし)式の器具です。
全日本コーヒー協会は、コーヒーの成分がしっかり抽出されるため、豆の味わいをダイレクトに楽しめると説明しています。
UCCによると、紙のフィルターを使わないのでコーヒーのオイルごと抽出され、香りや豆の個性を味わいやすいのが持ち味です。

粉の量・湯温・時間の目安
メーカーや抽出の解説によって、目安の書き方が少しずつ違います。
| 出典 | 粉 | 湯の量 | 湯温 | 待つ時間 |
|---|---|---|---|---|
| UCC | 中細挽き〜粗挽きで1杯10〜12g | 1杯160ml程度 | 92〜96℃ | 4分ほど |
| ボダム(BRAZILの取扱説明書) | 粗挽きのみ、付属スクープすり切り1杯 | 1杯120cc | 90〜95℃位(沸騰したてでない湯) | 最低4分 |
| ハリオ(プレスの淹れ方) | ページに記載なし | 粉が湿る程度に注いでから注ぎ足す | ページに記載なし | 約1分+約2分 |
ボダムは時間を「最低4分」と下限で書いていて、UCCの「4分ほど」とは書き方が違います。
湯温もUCCが92〜96℃、ボダムが90〜95℃位と、上下に数度の幅があります。
UCCの目安を比率にすると、粉1に対して湯は約13〜16(160÷12=約13.3、160÷10=16)です。
ただしUCCはこの160mlを、「カップの温めなどにも使うので多めに用意」する量としています。
そのため、この比率は湯が少し多めに出る計算だと見ておくと、濃さを決めるときに迷いにくくなります。
ポットの容量から量を決める
フレンチプレスは、ポットの容量より多く淹れることはできません。
たとえばハリオのカフェプレス・Uは、2杯用の実用容量が300mL、4杯用が600mLで、1杯あたり150mLの計算です。
UCCの1杯160mlで杯数を掛け算すると、次のようになります。
| 杯数 | 粉(1杯10〜12g) | 湯(1杯160ml) | 300mL(2杯用)に入るか | 600mL(4杯用)に入るか |
|---|---|---|---|---|
| 1杯 | 10〜12g | 160ml | 入る | 入る |
| 2杯 | 20〜24g | 320ml | 超える | 入る |
| 3杯 | 30〜36g | 480ml | 超える | 入る |
| 4杯 | 40〜48g | 640ml | 超える | 超える |
「2杯用」「4杯用」という表示は1杯150mLの計算なので、UCCの1杯160mlとは1杯あたりの量の前提が違います。

表示の杯数をそのまま淹れる杯数の目安にするときは、ここに注意が要ります。
2杯用で淹れるなら湯は300mLが上限で、UCCの比率(約1:13〜1:16)にあてはめると粉は約19〜23gが計算上の目安です(300÷16=18.75、300÷13.3=約22.5)。
さらにボダムの取扱説明書は、ポットの上から最低2.5cmは空けて湯を入れるよう書いているので、目盛りぎりぎりまで注がないようにします。
味を変えたいときに動かすところ
注ぎ方の技術が関係しないぶん、味の調整は粉の量・挽き目・待つ時間の中で考えます。
濃さを変えたいとき
湯の量は容量が上限なので、濃さは粉の量で動かすのが分かりやすい方法です。
UCCの1杯10〜12gの幅の中で、薄いと感じたら12g側へ、濃いと感じたら10g側へ寄せます。
待つ時間を変えたいとき
UCCは4分ほど、ボダムは最低4分、ハリオは蒸らし約1分と約2分の合計約3分と、時間の書き方にも幅があります。
全日本コーヒー協会は、抽出時間が短いと酸っぱく薄く、長いと苦くエグくなる傾向を説明しています。
4分(ボダムは最低4分)を基準にして、酸味が立つなら30秒ほど長めにします。
苦味が強いときは、ボダムの「最低4分」を下回らないよう時間はそのままにして、粉を少し粗く挽いて試します。
フレンチプレスの淹れ方
UCCの手順をもとに、ボダムの取扱説明書の注意点を加えて5つにしました。
ガラスのポットとカップに湯を入れて温め、湯は捨てます。
抽出したコーヒーが冷めにくくなります(UCC)。
粗挽き〜中細挽きの粉を、杯数分ポットに入れます。
ボダムは粗挽きだけを使うよう書いています。
沸騰が落ち着いた湯を注ぎ、粉の乾いたところが残らないようになじませます。
かき混ぜるときはプラスチックのスプーンを使います(金属のスプーンはガラスを傷つけるおそれがあると、ボダムの取扱説明書にあります)。
プランジャー(つまみの付いたフィルター部分)をポットの上に置き、押し下げずに4分ほど待ちます。
注ぎ口を自分と反対側に向け、ハンドルをしっかり持って、手の重みだけでゆっくり押し下げます。
押し下げにくいときは、いったんプランジャーを抜いて中をかき混ぜてから、もう一度ゆっくり下げます(ボダム)。

店で粉にしてもらう場合は、使う器具が「フレンチプレス」だと伝えると、挽き目を合わせてもらえます(店頭での伝え方の例はコーヒー豆の買い方の手順のところにあります)。
細かい粉が気になるとき
UCCは、フィルターを通った微粉がコーヒーに入ることをフレンチプレスならではの味わいの一部としています。
それでもざらつきが気になる場合は、粉の側を見直します。
全日本コーヒー協会は、挽き方のポイントとして粒の大きさを均一にすることと、微粉末を最小限にすることを挙げ、微粉は成分の出すぎの原因になりがちだとしています。
細かく挽きすぎると、ボダムの注意書きのとおりフィルターの目詰まりも起きやすくなります。
器具ごとにどの挽き目が合うかを一覧で見たいときの入口は、浅煎り・中煎り・深煎りの違いの「挽き目は焙煎度ではなく、淹れる器具で決める」の表です。
自分で挽く場合は、挽き目を調整できるミルを使うと粒をそろえやすくなります(ミルの刃と挽き目の話はコーヒーミルの選び方へ)。
紙で濾す浸漬式という選択肢
微粉もオイルも少なめにしたい場合は、粉を湯に浸してからペーパーで濾すタイプのドリッパーもあります。
UCCが紹介しているクレバーコーヒードリッパーは、底の「弁」が閉じた状態で粉を湯に浸し、サーバーにのせると弁が開いてコーヒーが落ちる仕組みです。
| 比べるところ | フレンチプレス | 弁付きの浸漬式ドリッパー |
|---|---|---|
| 濾すもの | 金網のフィルター | ペーパーフィルター |
| 挽き目(UCC) | 中細挽き〜粗挽き | 中細挽き |
| 待つ時間(UCC) | 4分ほど | 30秒ほど置いてから、さらに2〜3分 |
| カップに入るもの | オイルも微粉も入る(UCC) | 紙で濾す(UCCは、オイルごと抽出するのを金属フィルターの特徴として紹介) |
同じ浸漬式でも、濾すものが金網か紙かで、舌ざわりの方向が分かれます。
使うときの注意
ボダムの取扱説明書には、次の注意が書かれています。
細挽きの粉はフィルターの目詰まりやポット内の圧力の上がりすぎの原因になるため、粗挽きだけを使います。
無理な力で押し下げると、熱いコーヒーが噴き出すおそれがあります。
コンロの上や電子レンジでは使わず、ガラスに傷・割れ・欠けがあるポットは使わないでください。
使い方の細部は機種によって違うので、手元の製品の取扱説明書を優先してください。
洗い方
フレンチプレスは紙のフィルターを使わないため、金網に粉とオイルが残りやすい器具です。
UCCは、フィルター部分が目詰まりしないよう、使ったあとはしっかり洗うようすすめています。
洗い方の流れ
1. 粉を捨て、ポットとプランジャーを水ですすぎます。
2. プランジャーのフィルター部分のネジを回して分解し、金網を1枚ずつ洗います(ボダムは毎回の使用後の分解洗浄を案内)。
3. よく乾かしてから組み立てます。
研磨材入りのたわし・金属たわし・クレンザーは使いません(ボダム)。

食器洗浄機については、ボダムのBRAZILの取扱説明書では全パーツが洗浄できるとされていますが、使えるかどうかは機種や素材で違います。
ほかのメーカーのものも含め、食洗機に入れる前に、手元の製品の取扱説明書で確認してください。
紅茶にも使える?
ハリオは、カフェプレス・Uとハリオール・7の製品ページで、紅茶も抽出できると紹介しています。
コーヒーと紅茶を同じポットで続けて使う場合は、香りが移らないよう、使うたびにフィルターまで分解して洗うのが無難です。
アイスにしたいとき、ほかの器具と比べたいとき
冷たいコーヒーを作りたい場合は、熱い湯で濃く抽出して氷で冷やす方法と、水に浸けて時間をかける方法で作り方が分かれます(2つの作り方の違いと保存の目安はアイスコーヒーと水出しコーヒーの作り方へ)。
ほかの淹れ方と手間や味をまとめて比べたいときは、透過・浸漬・加圧の方式ごとに整理した一覧が手がかりになります(6つの淹れ方の比較表はコーヒーの淹れ方の違い比較へ)。
押し下げるのは、手の重みだけ
ボダムの取扱説明書が何度も注意しているのは、待ち時間よりも最後のひと押しの力加減です。
4分待ったら、手の重みだけでゆっくり下げます。

押し下げにくいと感じたときは粉が細かすぎる可能性があるので、次は少し粗く挽いて試します。






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