コーヒーの成分には、湯に溶け出しやすいものと、溶け出しにくいものがあります。
全日本コーヒー協会はこの性質から、抽出時間が短いと「酸っぱくて薄く」、長いと「苦くてエグく」なると説明しています。
つまり、酸っぱい・薄いは「出し足りない」側、苦い・えぐいは「出しすぎ」側の合図です。
挽き目・湯温・落ちる速さのどれが原因かを見分けて、1回に1つずつ動かすと、どこで味が変わったのかが分かります。
症状から、最初に動かす1つを決める
| 感じた味 | 起きていそうなこと | 最初に変える1つ | 次に見るところ |
|---|---|---|---|
| 酸っぱくて、薄い | 出し足りない | 挽き目を1段細かく | 湯温が低くないか |
| 酸っぱいが、濃さは十分 | 豆の焙煎度による酸味かもしれない | 次の豆を1段深い焙煎度に | 湯温・挽き目 |
| 苦くて、えぐい・渋い | 出しすぎ | 挽き目を1段粗く | 湯温が高すぎないか・蒸らしが長くないか |
| 苦いが、雑味はない | 豆の焙煎度による苦味かもしれない | 次の豆を1段浅い焙煎度に | 粉の量 |
| 薄いだけ | 粉が少ない・湯が多い | 粉を1〜2g増やす | 注ぐ位置 |
| 濃すぎる | 粉が多い・湯が少ない | 粉を1〜2g減らす | 湯の量 |
「起きていそうなこと」の列は、全日本コーヒー協会・メリタ・UCCの説明を突き合わせて、当サイトで整理しました。
「1〜2g」は12gを基準にしたときの動かし幅の例で、決まった数字ではありません。

浅煎りの酸味と、深煎りの苦味は「失敗」ではありません。
全日本コーヒー協会は、豆の種類にもよるとしたうえで、浅煎りは酸味が強く、深煎りは苦味が強くなると説明しています。
淹れ方を直しても同じ方向の味が残るなら、豆の焙煎度を見直すほうが近道です。
酸っぱいときは「出し足りない」を疑う
酸っぱさは、粉から成分が十分に出てこなかったときに出やすい味です。
疑う順番は、挽き目→湯温→落ちる速さです。
挽き目が粗すぎないか
メリタは、挽き目が粗いと抽出率が下がって濃度も下がり、酸味が特徴的なコーヒーになると説明しています。
全日本コーヒー協会は、ペーパードリップや家庭用のコーヒーメーカーに合う粒度を中細挽きとし、粒の大きさをグラニュー糖くらいとしています。
ミルがあるなら、目盛りを1段だけ細かくして淹れ比べると、違いをつかみやすくなります。

挽いた粉を買っている場合は、次の袋で挽き方の表示が器具に合っているかを確かめます。
湯がぬるくないか
メリタは、湯温のスイートスポットを90〜95℃とし、温度が低いと抽出が少なくなり、酸味が特徴的なコーヒーになるとしています。
全日本コーヒー協会の適温は、沸騰後に火から離して湯面が静まった程度の95℃前後です。
沸かしてから長く置いた湯や、冷えたドリッパーに注いだ湯は、思ったより温度が下がっていることがあります。

湯が速く落ちすぎていないか
メリタは、抽出時間が短ければ酸味が強いコーヒーになるとしています。
ハリオもV60について、素早く注げばすっきりした味、ゆっくり注ぐとコク深い味になると説明しています。
一度にたくさん注いで一気に落とすと、粉に湯が触れている時間が短くなります。
3つとも確かめて酸っぱさが残るなら、豆の性格を疑います。
8段階の焙煎度と酸味・苦味の関係は、浅煎り・中煎り・深煎りの違いに載せている表で見比べられます。
苦い・えぐいときは「出しすぎ」を疑う
苦さに、舌に残るえぐみや渋みが混ざるときは、成分が出すぎていることが考えられます。
挽き目が細かすぎないか、微粉が多くないか
メリタは、挽き目を細かくすると抽出率が上がって濃くなり、苦みが特徴的なコーヒーになるとしています。
全日本コーヒー協会は、微粉末が過剰抽出の原因になりがちだとして、挽き方のポイントに「微粉末を最小限にする」を挙げています。
挽いた粉に粉末状の細かい粒が目立つときは、挽き目を1段粗くするか、粒をそろえやすいミルかどうかを見直します。

刃の方式による粒のそろい方の違いは、コーヒーミルの選び方の表で比べられます。
湯が熱すぎないか
メリタは、温度が高すぎるとコーヒー成分が抽出されすぎる「過抽出」になり、苦味が強くなると説明しています。
沸騰したての湯をそのまま注いでいるなら、少し置いてから注ぐだけで変わることがあります。
蒸らしや抽出が長すぎないか
UCCは、蒸らしの時間を20秒程度とし、長く置きすぎると苦味や渋味が強く出てしまう原因になるとしています。
全日本コーヒー協会が挙げる「苦くてエグく」も、抽出時間が長いときの味です。
「渋い」「えぐい」は、苦いとどう違うのですか?
どちらも、全日本コーヒー協会やUCCの説明では出しすぎたときに出てくる味として扱われています。
苦味そのものは深煎りの豆の持ち味でもありますが、舌に残る渋さやえぐみがあるなら、淹れ方の側を疑うのが目安です。
薄いとき・濃いときは、粉と湯の比率を見る
薄い・濃いは、酸味や苦味とは別に、粉と湯の量の比率で決まる部分が大きくなります。
全日本コーヒー協会のペーパードリップのレシピは、中細挽きの粉12gに湯160mLを注いで、140mLのコーヒーを淹れる量です。
同協会は、おいしいドリップコーヒーの濃度を約1.4%前後としていて、そのために器具に合った量の粉を使うことが大切だとしています。
同じ160mLの湯で粉を10gにすると、粉は12gより約17%少なくなり、そのぶん薄くなります。
薄く感じるときは、次の順で確かめます。

- 粉を量っているか(計量スプーンの山盛り・すり切りで量が変わる)
- 湯を注ぎすぎていないか(スケールで合計の重さを見ると分かりやすい)
- ペーパーの縁に湯をかけていないか
- 蒸らしで湯を入れすぎていないか
UCCは、外側のフィルターから湯を注ぐと、コーヒーと湯の接触時間が短くなり、薄く水っぽい味わいになると説明しています。
蒸らしの湯の目安は1杯で20ml程度で、必要以上に注ぐと成分が引き出しきれず、軽い味わいになるとも書いています。
基準の量と注ぎ方は、ハンドドリップのやり方に載せている手順のとおりに一度淹れてみると、比べる軸ができます。
湯の量を毎回そろえるには、ハンドドリップ用ケトルとスケールの選び方で紹介している、注いだ湯を合計の重さで追う量り方が使えます。
味の悩みでよくある疑問
- コーヒーメーカーで淹れると酸っぱい・苦いときは、どこを変えますか?
-
メリタは、抽出に向く湯温を90〜95℃とし、同社のプロ向けコーヒーマシンはすべてこの湯温で設計していると紹介しています。
湯の落ちる速さは、ドリップ部の溝(リブ)と穴の大きさのバランスで決まるという説明です。つまり湯温と速さは機械の側で決まっていて、自分で動かせるのは粉の量と挽き目です。
全日本コーヒー協会は家庭用のコーヒーメーカーに合う粒度を中細挽きとしているので、まず粉の挽き方の表示を確かめます。 - 淹れてしばらくたつと、味が変わるのはなぜですか?
-
メリタは、ガラスのポットを保温ヒーターで温め続けるタイプでは、熱によって香りや味わいに変化が出るとしています。
ステンレスのポットは冷めにくく、熱による味の変化が少ないというのが同社の説明です。
保温のまま長く置くより、飲む分だけ淹れるほうが味は変わりにくくなります。 - 酸っぱいのは、豆が傷んでいるからですか?
-
酸味そのものは、浅煎りの豆の持ち味でもあります(全日本コーヒー協会)。
ただし、豆や粉に見慣れないにおいや見た目の変化があるときは、味の調整とは別の問題です。
厚生労働省は家庭の食中毒予防として「ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう」としていて、怪しいと感じた豆は淹れずに処分します。
コーヒーメーカーの方式ごとの抽出の違いは、コーヒーメーカーの種類と選び方で方式別に読めます。

淹れ方を直しても変わらないとき
挽き目・湯温・量を基準どおりにしても味が戻らないときは、淹れ方の外に原因があることがあります。
全日本コーヒー協会は、おいしく淹れる基本原則として、新鮮な焙煎豆を使う、適切な水を使う、清潔な器具を使うことを挙げています。
水を替えて淹れ比べるときの目安
メリタは、コーヒーに適しているとされる軟水を、カルシウムやマグネシウムのミネラル成分が50mg/L以下の水と説明し、多くの日本の水道水はコーヒーの抽出に適しているとしています。
そのうえで、活性炭の浄水フィルターで塩素成分を除くことにも触れています。
全日本コーヒー協会も、水道水にはさまざまな不純物や塩素などが含まれるため、なるべく浄水器を通した水を使うことをすすめています。
水を疑うときは、同じ豆・同じ量で、水道水と浄水を1杯ずつ淹れ比べると、水の影響だけを切り分けられます。

開けた豆の置き場所と飲み切りの目安はコーヒー豆の保存方法、コーヒーメーカーの内部の洗い方はコーヒーメーカーの掃除とクエン酸洗浄のやり方で、それぞれ取り上げています。
直すときは、1回に1つだけ変える
挽き目と湯温を同時に変えると、味がよくなっても悪くなっても、どちらが効いたのか分からなくなります。
次の1杯では、表の「最初に変える1つ」だけを動かし、ほかはそのままにします。
淹れ比べのメモ
豆の名前と焙煎度/粉◯g・湯◯mL/挽き目の目盛り/湯温(沸騰から何分置いたか)/落ちきるまでの時間/味(酸っぱい・苦い・薄い・ちょうどよい)
味が好みに寄ったところで、その日の条件を自分の基準として残しておくと、豆を替えたときも同じところから調整を始められます。
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