ハリオのドリッパー「V60」の名前は、円すい形のV字の角度が60°であることからつけられています。
ドリッパーは見た目が似ていても、形(円すい形か台形か)・底の穴の数・内側の溝(リブ)の組み合わせで、湯の落ち方と注ぎ方の考え方が変わります。
どれを選ぶかは、自分で注ぐ速さを動かしたいか、器具に任せたいかで決めると分かりやすくなります。
形と穴の数で、5つのタイプに分ける
家庭でよく使われるドリッパーを、形と穴で分けると次のようになります。
| ドリッパー | 形 | 穴・底 | メーカーの説明の要点 | 注ぎ方 | 使うペーパー |
|---|---|---|---|---|---|
| ハリオ V60 | 円すい形 | 大きなひとつ穴 | らせん状のリブで空気の通り道をつくる | 注ぐ速さで味を変える | 円すい形(V60用) |
| カリタ(101・102など) | 台形 | 三つ穴 | 三つ穴で、雑味がでる前においしさだけをドリップ | 全日本コーヒー協会の手順(3つ穴式で解説)では蒸らしのあと3回 | 台形(カリタの101・102) |
| カリタ ウェーブ | 底が平ら | 三つ穴 | 底部の三つ穴で味ムラのない抽出、波形のフィルターでドリッパーとの接触面を減らす | 湯だまりなく速やかに落ちる(フィルターの説明) | ウェーブフィルター(専用) |
| メリタ | 台形 | 一つ穴 | 内側のミゾと1つ穴が湯の流れを調整 | 蒸らしのあと杯数分を一度に | 台形(メリタの1×2など) |
| クレバー | 台形 | 弁つきの穴 | 弁を閉じたまま浸し、サーバーにのせると落ちる | 湯を注いで待つ | 台形のペーパー |
形と穴は、ハリオ・カリタ・メリタ・UCCの製品ページと淹れ方の解説から拾い、注ぎ方は各社の基本の手順を短くしたものです。

全日本コーヒー協会も、ペーパードリップには1つ穴式と3つ穴式があり、抽出する速度が違うと説明しています。
円すい形のV60は、注ぐ速さで味を動かす
ハリオは、V60の特徴を3つに分けて説明しています。
- 円すい形: 粉の層が深くなり、湯が中心に向かって流れるので、粉に長く触れて成分を多く引き出す
- 大きなひとつ穴: 湯がドリッパーに流れを制限されにくく、注ぐ速度で味を変えられる
- スパイラルリブ: 内側のリブを上部までのばし、蒸らしでふくらむ粉のじゃまをせず、空気がしっかり抜ける
同社によると、素早く注げばすっきりした味、ゆっくり注ぐとコク深い味になります。
注ぐ速さがそのまま味に出るので、湯量を細かく調整できる細口のケトルと組み合わせると扱いやすい形です。
細口ケトルの注ぎ口も一つの形ではなく、カリタのコーヒー達人・ペリカンのように「太くも細くも注げる」ものもあります(注ぎ口の形の違いはハンドドリップ用ケトルとスケールの選び方で比べています)。

サイズは01・02・03の3つ
樹脂製(AS樹脂)のV60透過ドリッパーは、01が1〜2杯用(550円)、02が1〜4杯用(660円)、03が1〜6杯用(880円)です。
どのサイズでも、ハリオは杯数に関係なく3分以内に注ぎきることを淹れ方の目安にしています。
1杯だけ淹れる日が多いなら01、家族の分も淹れるなら02というように、ふだんいちばん多い杯数で選ぶのが分かりやすい決め方です。
台形のカリタとメリタは、穴の数が違う
カリタは三つ穴
カリタは、自社のドリッパーの特徴を「三つ穴」とし、雑味がでる前に、おいしさだけをドリップすると説明しています。

プラスチック製の101-Dは1〜2人用、102-Dは2〜4人用です。
メリタは一つ穴
メリタは、ドリッパーを「フィルター」と呼び、すべて一つ穴式です。
蒸らしたあとは杯数分の湯を一度に注ぎ、あとは内側のミゾと1つ穴が湯の流れをコントロールするので、淹れる人の技術を問わないとしています。
注ぐ速さに気を使いたくない人に向く考え方です。
底が平らなカリタ ウェーブ
ウェーブシリーズは、底が平らで、底に三つ穴のドリッパーです。
組み合わせるウェーブフィルター185は、表面積が広く、20個のヒダでドリッパーとの接触面を減らして、湯だまりなく速やかにドリップできるとカリタは説明しています。

ステンレス製の155は1〜2人用、185は2〜4人用です。
浸してから落とすクレバー
UCCが紹介しているクレバーコーヒードリッパーは、底にシリコンラバー製の「弁」がある台形のドリッパーです。
テーブルに置いたままでは弁が閉じていて、湯を注ぐと粉が浸かった状態になります。
同社の手順では、中細挽きの粉を1杯あたり10〜12g入れ、湯を注いで30秒ほどおき、さらに2〜3分ほど待ってからサーバーにのせます。
サーバーにのせた瞬間に弁が開いて落ち始めるので、粉を入れるときはまだサーバーにのせないのがポイントです。

粉を湯に浸すため、同社はこの器具では「蒸らし」は必要ないとしています。
浸してから落とすタイプはクレバーだけではなく、ハリオも「浸漬式ドリッパー スイッチ」という名前の製品を出しています。
金網で濾すフレンチプレスとの違いは、フレンチプレスの使い方で表にして説明しています。
素材で変わるのは、重さ・温め方・価格
同じ形でも、素材によって扱い方が変わります。
| 素材 | 公式ページでの例 | 扱うときのポイント |
|---|---|---|
| 樹脂(AS樹脂・ポリプロピレン) | V60 01(個箱込み約100g・550円)、カリタ 101-D(本体40g・330円) | 軽くて価格を抑えやすい |
| 陶磁器 | V60のセラミック(有田焼) | 湯で温めてから使う(メリタ) |
| 耐熱ガラス | V60の耐熱ガラス製など | 湯で温めて抽出温度を安定させる(メリタ) |
| ステンレス | カリタ ウェーブ155(4,950円)・185(5,500円) | 金属製で、価格は樹脂製より高い |
ペーパーを使わない金属フィルター
ハリオは、ペーパーのいらないステンレスメッシュのドリッパー(カフェオールドリッパー)を、コーヒーオイルも楽しみたい人やアウトドア向けとして紹介しています。
同社は、ペーパードリップはコーヒーオイルなどが取り除かれるためクリアな味わいになると説明していて、紙か金属かで、カップに残る油分の量が変わるという関係です。
ペーパーを買い足す手間はなくなりますが、その分、使うたびにメッシュを洗う手入れがいります。
ペーパーフィルターのサイズの合わせ方
ペーパーは、ドリッパーと同じメーカーの、同じ番号のものを選ぶのが基本です。

| メーカー・シリーズ | サイズの番号 | 杯数・人数の目安 |
|---|---|---|
| ハリオ V60 | 01 / 02 / 03 | 1〜2杯 / 1〜4杯 / 1〜6杯 |
| カリタ(台形) | 101 / 102 | 1〜2人用 / 2〜4人用 |
| カリタ ウェーブ | 155 / 185 | 1〜2人用 / 2〜4人用 |
| メリタ | 1×1 / 1×2 / 1×4 / 1×6 | 1〜2杯 / 2〜4杯 / 4〜8杯 / 6〜12杯 |
ドリッパーが円すい形か、台形か、底が平らなウェーブ型かを見ます。
カリタのウェーブのように、専用のフィルターしか使えないシリーズがあります。
ドリッパーの底や箱に書かれた番号(02、102、1×2など)と同じ番号のペーパーを選びます。
ふだん淹れる杯数が、番号の範囲に入っているかを確かめます。
台形のペーパーは、底と側面の貼り合わせ部分を互い違いに折ってからセットします(メリタ・UCC)。
形の違うドリッパーとペーパーの組み合わせは使わないのが原則です。
カリタは、同社の抽出器具はカリタでそろえて使うよう案内し、ウェーブ型ドリッパーには専用のウェーブフィルターを使うこと、他社製の円錐型など形が違うドリッパーには使えないことを明記しています。
注ぎ方の手順そのものは、ハンドドリップのやり方で、全日本コーヒー協会・ハリオ・メリタのレシピを比べながら説明しています。
どのタイプから選ぶかの目安
| こんな淹れ方をしたい | 見当をつけるタイプ | 理由(メーカーの説明から) |
|---|---|---|
| 注ぐ速さで味を動かしてみたい | ハリオ V60(円すい形・ひとつ穴) | 素早く注ぐとすっきり、ゆっくり注ぐとコク深くなる |
| 注ぐ速さを気にせず淹れたい | メリタ(一つ穴) | 杯数分を一度に注げば、ミゾと穴が湯の流れを調整する |
| 3つの穴に適度に任せたい | カリタ(三つ穴) | 三つ穴で、雑味がでる前にドリップする設計 |
| 底に湯をためずに落としたい | カリタ ウェーブ | 平らな底とヒダのあるフィルターで、湯だまりなく落ちる |
| 注がずに浸して淹れたい | クレバー | 弁を閉じて浸し、時間がきたらサーバーにのせるだけ |
どのタイプでも、注ぎ方の基本はそのメーカーのレシピに合わせると、味がぶれたときに原因を探しやすくなります。
ペーパーは、ドリッパーを決めてから買う
ドリッパーが決まると、使えるペーパーの形と番号も決まります。
先にペーパーを買うと、形や番号が合わずに使えないことがあるので、順番は「ドリッパー → 同じ番号のペーパー」です。
ハリオの02(1〜4杯用)のように、少なめの日の杯数も、多めの日の杯数も範囲に入るサイズを選ぶと、1つのドリッパーで間に合います。
関連記事
- 関連記事:➔ ハンドドリップ用ケトルとスケールの選び方 ― 細口ケトルは必要?
- 関連記事:➔ 自宅コーヒーに必要な道具と予算別のそろえ方 ― 何から買う?
- 関連記事:➔ ハンドドリップのやり方 ― 粉の量・湯温・蒸らしの手順
- 関連記事:➔ コーヒーミルの選び方 ― 手動と電動、刃の種類と挽き目











コメント